岩崎雅典氏を悼む

 また脱原発社会をめざす同志で、我らが友人であるドキュメンタリー映画監督・岩崎雅典氏が、七月十八日、亡くなった。群像舎代表。享年八十一歳。
 二〇一一年三・一一福島原発事故の後、放射能汚染地域に、カメラマン明石太郎氏らとともに毎年のように踏み込み、被曝した生きものたちを記録し続けた。その遺作ともなったドキュメンタリー映像記録『福島 生きものの記録』シリーズ1「被曝」、2「異変」、3「拡散」、4「生命(いのち)、5「追跡」の五編に上っている。さらに、シリーズ第6作を病床の中で構想していた。
「脱原発文学者の会」は岩崎監督に共感し、鎌倉の市民グループの実行委員会に参加して、『福島 生きものの記録』シリーズ1から5までの上映会を行ない、大勢の人びとに深い衝撃と感銘を与えた。
 岩崎雅典氏は、秋田県出身。早稲田大学探険部OB。北斗映画、岩波映画製作所などで、ニホンザルやクマタカ、イヌワシなど野生動物の生態を記録したドキュメンタリー映画や足尾銅山鉱毒を沈殿させるために造られた渡良瀬遊水池のドキュメンタリー記録映画を制作していた。
 二〇一八年に病床に臥し、車椅子生活を余儀なくされていた。それでも、なお『福島 生きものの記録』を制作したいという意思は強く、最期の最期まで撮り続けたいと語っていた。
 映像の文士・岩崎雅典氏の『福島 生きものの記録』は、この十年間でも最も優れた映像記録であり、「脱原発社会をめざす文学者の会」映像大賞に値する、と私は信じている。 (文責・森詠)

加賀乙彦長編小説全集刊行スタート

「人の奥行きの深さ描けた」
第一回配本「錨のない船」

 日本を代表する長編作家加賀乙彦さん(九二)の長編小説全集(全十一作品十八巻、作品社)の刊行が始まった。収録作は「永遠の都」「雲の都」「宣告」「湿原」などの長編小説と、加賀文学の重要な一角を占める「高山右近」などキリスト教関連の小説。加賀さんは「長編には長編の力がある。長編だからこそ、人間の奥行きの深さを描けた」と話す。 加賀さんは、精神科医としてフランスに留学した時代の経験をモチーフにしたデビュー作『フランドルの冬』(一九六七年)以来、日本の作家では珍しく長編を創作の中心に据えてきた。主な長編作品はロシア語や中国・フランス・英語など各国語に翻訳され、世界中で読まれてきた。
 一方で、作品は文庫でも絶版になったものが多く、紙の本として後世に残したいという加賀さんの思いが、今回の刊行につながった。
(加古陽治・記)ー東京新聞夕刊2021年6月14日の記事から(抜粋)

幹事会報告

事務局長からのご報告

 5月10日(月)午後5時からZOOMで幹事会をおこないました。このご時世なので、なかなか対面の会合は難しくなってきています。
 さて、幹事会で話し合われた模様をお伝えします。
①会のサイト(HP)について
 ・現在、山本常任幹事が担当として運営してくださっています。先日、天瀬さんの「文学大賞」への感想が投稿されてきましたので、さっそくアップすることになりました。
 ・幹事の橘光顕さんが月に2回の連載を始めることになりました。乞うご期待です。
 ・幹事の伊神権太さんが月に1回の連載を始めることになりました。こちらも乞うご期待です。
 ・今後、毎年おこなわれる文学大賞に向けて、会員が作品を推薦するコーナーを設けることになりました。皆さん、どしどし推薦作をお送りください。なお、情報の共有ということから、文学だけでなく、映画、演劇、アート作品なども推薦してください。
②会報について
 ・編集長の竹内常任幹事から、連載が何本か欲しいという声があり、これから企画を進めていく予定です。すでに1本は決まっているようですが、これはどなたが書くのか会報が届くのをお楽しみに。
③林京子さんの会について
 ・常任幹事の高橋至さんから、この夏に予定していた林京子さんの会は、延期したい旨の申し出がありました。コロナの感染状況を見るに、仕方がないことだなとなりました。
④その他
 ・今回、代表幹事の森詠さんはコロナのワクチン接種のため、欠席となりましたが、事前に『OFF』を再開してはどうか、という提案がありました。現状、サイトの充実に注力することで手一杯で、余裕ができたら検討しようということになりました。また、森さんご本人から、新しく再開する『OFF』についての構想を伺おうということにもなりました。
 ・次回の幹事会は6月7日(月)午後5時~(なんと高橋さんの誕生日!)です。
 ・皆様、コロナに十分ご注意なさってください。御身ご自愛を。

                  文責 事務局長・村上政彦

訃報 若松丈太郎さんが逝去されました

会員である詩人の若松丈太郎さんが、4月21日、永眠されました。死因は悪性リンパ腫であり、享年85歳でした。
若松さんは地元福島に根差し詩作を続け、原発事故を18年前に予言した一連の詩(『ひとのあかし』に収録)は特に知られています。会員としても、「OFF」や会報に作品や文章を寄せてくださり、訪問時には被災地の紹介をしてくださるなど多く尽力くださいました。近刊は『夷俘の反逆』
謹んでお悔み申し上げます。

文学大賞追加情報2

出版の業界紙「新文化」(3月18日)の記事。(紙面右下)

脱原発社会をめざす文学者の会
文学大賞を創設 全部門の受賞作決まる

 作家・加賀乙彦氏が代表を務める脱原発社会をめざす文学者の会は3月11日、第1回「脱原発社会をめざす文学者の会文学大賞」の部門別受賞作を発表した。
 フィクション部門は、多和田葉子『献灯使』(講談社)、古川日出男『あるいは修羅の十億年』(集英社)、谷賢一『戯曲 福島三部作』(而立書房)。ノンフィクション部門は吉田千亜『孤塁 双葉郡消防士たちの3・11』(岩波書店)、片山夏子『ふくしま原発作業員日誌 イチエフの真実 9年間の記録』(朝日新聞出版)、いとうせいこう『福島モノローグ』(河出書房新社)がそれぞれ受賞した。
 脱原発社会をめざす文学者の会は、原発や核エネルギーを使用しない社会をめざす文学者の有志で組織している。2012年10月に発足した。
 同賞は東日本大震災と福島原発事故から10年の節目に当たった今年、その教訓を後世に残すにふさわしい作品という観点で選考を行った。

文学大賞追加情報

地方紙でも文学大賞が記事になっていました。
福井民報(3月18日)、紀伊民報(3月18日)、沖縄タイムス(3月19日)
ネットで検索をしましたが、有料のため全文を読むことはできませんでした。

北陸中日新聞の記事

3月17日付の北陸中日新聞で「文学大賞」が紹介されました。
東京新聞の福島特別支局長・片山夏子さんの
『ふくしま原発作業員日誌 イチエフの真実 9年間の記録』が大賞受賞したこととともに、他の受賞作、会の紹介もされました。


東京新聞で受賞のニュースがありました 2021年3月12日

 福島第一原発で働く作業員を粘り強く取材した片山夏子福島特別支局長=写真=の著書「ふくしま原発作業員日誌 イチエフの真実、9年間の記録」が「石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞」公共奉仕部門の奨励賞を受賞し、11日贈呈式があった。
 片山支局長は取材地の福島県から「今日も作業員はいつものように、現場で目の前の作業を何とかしようとしています。原発事故は終わっていません。そして1日も早く廃炉にしたいと働く彼らをこれからも追っていきたいと思っています」とメッセージを送った。

 また、原発や核エネルギーを使用しない社会をめざす表現者でつくる「脱原発社会をめざす文学者の会」(加賀乙彦会長)は11日、同書を文学大賞(ノンフィクションの部)の1冊に選んだ。

文学賞が紹介されました

今井照容責任編集【文徒】2021年(令和3)3月15日(第9巻47号・通巻1944号)

2)【記事】「脱原発社会をめざす文学者の会」が文学大賞を発表した


3月11日には「脱原発社会をめざす文学者の会」が文学大賞を発表したが、ノンフィクションの部では「ふくしま原発作業員日誌」が選ばれた。他に吉田千亜の「孤塁 双葉郡消防士たちの3.11」(岩波書店)、 いとうせいこうの「福島モノローグ」(河出書房新社がノンフィクションの部では選ばれた。授賞理由を森詠が次のように述べている。
《フクシマ3.11原発災の悲劇は、まだ続いている。あの日、現地では何が起こり、何があったのか?福島の人々は何を思い、何を語るのか?記録者たちが己の目や耳を通し、肌で感じたすべてを言葉で語ろうとする営為に感動した。この十年間で、私たちは、これら秀逸なノンフィクションの収穫を得たことを感謝し、フクシマ原発災を決して忘れないということをあらためて認識する。》
フィクションの部では多和田葉子の「献灯使」(講談社)、古川日出男の「あるいは修羅の十億年」(集英社)、谷賢一の「戯曲 福島三部作」(而立書房)が選ばれた。授賞理由を川村湊が次の 
ように述べている。
《膨大で圧倒的な被害と悲劇を目の当たりにして、沈黙を強いられた表現者も少なくなかった。しかし、少数の表現者たちは、〝原発〟のある世界の過去・現在・未来を言葉によって紡ぎ出した。「献灯使」「あるいは修羅の十億年」「戯曲 福島三部作」は、ここ十年間に書かれたフィクションの大きな成果である。》
http://dgp-bungaku.main.jp/
谷賢一が次のようにツイートしている。
《拙作『戯曲 福島三部作』 (而立書房/2019年)が「脱原発社会をめざす文学者の会」文学大賞・フィクションの部を受賞致しました。古川日出男さんやいとうせいこうさん等ご高名な方や、僕も資料として拝読した吉田千亜さんなどと並んでの受賞で、大変光栄なことです。》
https://twitter.com/playnote/status/1369873649507856385
「戯曲 福島三部作」は岸田國士戯曲賞を受賞している